火災保険で給付された保険金について

ネット上ではいろいろな情報が錯綜し、保険屋を名乗る人が修理を必須だといっていたり、リフォーム会社は工事が欲しいためにやっぱり修理しないとだめだと記載しているところもあり、対して保険申請サポート会社はリフォーム会社を揶揄するために使途は自由だ!リフォームは気をつけろ。と記載していたり。また、なんとなくの感覚でなおさなきゃいけないという先入観をもっていたり。
以下に解説していきます。
で、使い道は自由なのか??
結論、保険金が支払われた場合、保険金の使い道は自由です。
給付されている段階でその先の金額は自由です。修理義務というのはありません。
ただこういうと 「ではなぜ請求・申請時に見積書を出す場合があるのか」 という質問が来ることがあります。
この回答としては火災保険は実際に給付する保険金額を算出するために、 「実際に同等のものを新たにするために修理をする場合にはいくらかかるのかという金額」(真価もしくは再調達価額といいます)を参考にして支払う保険金を算出しています。
そのために見積もりを出します。
なので修理をしなくてはいけないから修理に必要な見積書を要求するわけではありません。 損害額を算出するために修理をする場合の見積書を参考にしているのです。
この金額は直す相当額なので、その状況によって異なります。 必要なものが廃盤になったりなど、代替品がないケースやそもそも日本の物価があがるようなことが修理金額も上がるのでそれも変わります。
なので一概にいくらという明確な基準はないのです。
とは言っても、もちろん保険会社としても幾千もの保険請求を受けているため、ある程度の額は理解しているので闇雲に見積書を何千万にすればいいのかというと、それで給付されるというものではありません。
このことが給付金額に差がでたりする仕組みです。
話を戻すと結論としてはやはり支払われた保険金は使途は自由ということになります。
ただほんとにすごく一部の例外があります。(ちょっとややこしくなります)
以下解説します。
新価保険特約について
その例外とは「新価保険特約」という特約です。
自動車保険などでは多少一般的ではありますが、自動車などは時間ともに価値は減少するため、もし年数がたって事故にあってしまい、車を再購入しないといけない場合、もしこの特約に入っていないと、経年した状態の価値(時価)に対して保証され、仮に同じ車を新車で買う金額が300万円だとしても、200万しか時価がない場合には200万しか保証されないということです。
なのでこの「新価保険特約」に入っていれば300万円補償するよ。というオプションのようなもの(特約)です。
でこれが火災保険にも存在します。
火災保険の場合には、修理をしなければ時価で支払われて、その後2年以内に修理した場合にはその内容を報告することで残りの新価に足らない部分が支払われるというのが一般的です。
例としてわかりやすい数字で説明します。
修理金額を100万だとして、保険給付が確定したとします。 そうするとまず時価分(仮に40万だとします)が支払われます。 でこのお金は使途は自由です。 その上で2年以内に修理した場合には100万円の内容を保険会社に提出することで残りの60万が下りるというものです。
でもここで一つ疑問。
さっき新価で補償されるといいましたよね?なのに新価保証特約を付ける??どういうことでしょうか。
これは火災保険の歴史が影響しています。
1998年の保険料率の自由化です。
実はこれ以前は自動車保険のように火災保険も時価の補償を基本的としていました。
そのためその当時は「時価では手出しかでて直せないので新価保険特約を付けて安心しましょう」ということでアップグレードのオプションとして新価保険特約が存在していました。
それが一般的な保険契約でした。
ただし、1998年の保険料率の自由化以降ぐらいから逆に新価による保証が一般的になっていきました。今の保険商品も基本的にほとんどが以下のように新価(再調達価格)保証がほとんどです。
参考 セゾン自動車火災保険:
https://www.ins-saison.co.jp/eraberu/description/point02.html
でもそうすると新価保険特約というものが意味がなくなってしまうはずです。でも存在するのです。
どういうことかというと、簡単にかみ砕くと、実質、ダウングレードをするための特約ということで存在しているようなものです。
新価保証の商品には新価特約が付けれないので、時価補償の契約をして新価保険特約に入るということです。
真価払いの場合契約だったら最初から100万払ってくれるのに2段階にします。
そうすると保険会社としも実際に直してからのこりは払うので、保険金を支払うハードルをあげれますので支給保険料を軽減できる可能性が増えますので保険会社側にもメリットはあります。
なので今日現在もし最初から新価保証プランではなく、もし新価保険特約が付いている契約の場合には1998年以前一般的だったような、時価契約をして新価保険特約が付いている契約を意図的にしているのということです。
ただこのケースの場合でも修理したらのこりの保険金が支払われるだけなので、もし時価分ですでに支払われた保険金は使い道は自由です。
新価分との差分はそもそも修理しないとしはらわれないので、修理していない段階で保険金が支払われた場合にはそのお金=時価分となるので、この場合でも支払われた保険金=使い道自由ということが成立します。
なので上記の例をまとめると
真価・・・実際に同じ相当のものに直す場合に必要な価額
時価・・・時価は実際になおさなきゃいけない価額(真価)から経年による価値を減らした(減価)した価額
そのため
真価 > 時価 なので真価(再調達価格)払いの人は 100万丸ごと使途自由
新価特約の人(時価払いとその差額の2段階払いの人)は 40万は使途自由。(なおさなきゃ60万はもらえない)
ただしこのケースで時価分を使っちゃうと直せなくなっちゃうので、2年以内に直さないと残りの金額がもらえる権利を放棄するだけです。
そうするとそもそも新価保険特約を付けている意味がないよ。ということとなります。
それでもいいや!ということであればそれは契約者の判断です。
60万は直した後に支払われるわけですから、修理前に保険申請して下りた保険金があるとすればそれは間違いなく使途自由となります。
深堀してきましたが結論としては今日現在多くの人は新価保証になっていることがほとんどですから、最近の保険契約であればわざわざ真価保証を付けないといったことをしないかぎり気にする必要がないというのが結論です。
正直この新価保証特約、あくまでも弊社の印象ですが、実際に過去にいた人でも、100人いても1人いたら珍しいぐらいの印象です。かなり珍しい契約な印象です。
なので本題にもどりますが、火災保険で修理前に受け取れた保険金の使い道は自由ですが、もちろん修理した方が建物にはいいのはもちろんですので、そこは契約者自由の上でどうするかは公平に判断すべきです。
もし今後全く同じ個所がさらに被害が拡大した場合には「その修理をしなかった影響で出た被害ではないか」という可能性が発生するため、まったく同じ個所が被害が拡大した場合にはその費用に関しては再度保険金が給付されなくなる可能性はあります。
もちろん請求した場所以外の被害であればこの限りではありませんので何度でも使用可能です。
一旦事故の度に受け取り、次ほかの箇所が損傷してさすがに気になった時に一括で直すのもありです。そこは各々の価値観です。
公平に同業他社同士が競うあうのはいいことですが、事実とは異なる内容で誹謗したりするのは非常に悪質です。
補償内容についてどうしても気になる方は保険商品名でインターネットで検索して約款を探したりするとわかりやすいかもしません。
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