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家屋調査を行う際に、屋根の状態を撮影するために高所棒と呼ばれる長い自撮り棒に似た道具を使用します。
しかし、高所棒は2階建ての家であれば楽々届きますが、(約7メートル)分の長さまでしか伸びないため3階建て以上の場合は地上からでは届きません。
ただしベランダ等から棒を延ばすことにより対応は可能なので対応することはできますが、もしもそのような状況が不可の場合撮影が厳しくなります。
そこで使用するのがドローンです。ドローンであればどんなに高い建物の屋根でも撮影を行うことが可能ですが、取り扱いを間違えると重大な事故を引き起こすことにも繋がりかねないのです。
まずドローンって免許はあるの?
結論としては2021年1月現在、ドローンを飛行させるときに必須な免許は存在しません。
特定の条件下を除けば誰でも自由にドローンを飛行させることができます。
※特定の条件下は後ほど解説します
ただドローンスクールによる資格が存在します。これは何なのでしょうか?
結論から言うと、有料でドローンの練習・知識を習得した、学習したということを証明するだけのあくまで民間の資格です。国家資格ではありません。
つまり「研修を受けているので操縦・知識に関しては一定の知識を得た人」を証明するものにすぎないということになります。
なのでドローンスクールの資格を保有しているからといって、資格を保有している人との大きな格差があるわけでなく、むしろ資格を保有していない人でも、資格取得者よりも経験が上であるケースはいくらでもあると思います。
簡単に言うと免許を持っていると「箔がつく」というようなことでしょうか。
「ドローンスクール」と検索すると、行く意味あるのかなどという記事も上の方に
出てきてしまいます。
また前述の「特定の条件下」で飛行させるためには別途国土交通省に対して申請・許可が必要です。
これはドローンスクールの資格とは別ものなので、スクール資格の有無にかかわらず申請可能です。
なのでもしドローンスクールの資格の取得者で国土交通省に対して申請・許可を取得していない人とドローンスクールの資格はないひとでも国土交通省に対して申請している人がいた場合には、無資格者の方が飛行できる条件下が多いことになります。
特定の条件とは??
ではその特定の条件下とはどういう状況か説明していきます。
まず重量200g以上のドローンにおいて
※2021年1月現在
①空港等の周辺の空域
②地表又は水面から150m以上の高さの空域
③人口集中地区の上空(人口密集地区(DID))
④夜間飛行
⑤目視外飛行
⑥人又は物件から30m以上の距離を確保できない飛行
⑦危険物輸送又は物件投下を行う飛行
※2020年12月、今後200g以上の規制を100g以上に引き下げる方針を明らかになりました。
運用時期に関しては明確には決定しておりませんが2022年前後を検討されています。
また2020年7月には空港等の周辺の空域のみ関しては、200gより軽い機体でも飛行禁止になりました。年々飛行条件は変更されています。
主にこの要件となります。あとはイベント上空などもありますが割愛します。
このうち家屋調査に大きく関連する可能性があるものとして
③人口集中地区の上空(人口密集地区(DID))
⑤目視外飛行
⑥人又は物件から30m以上の距離を確保できない飛行
この3つが該当します。
・人口集中地区の上空(人口密集地区(DID))
都市部の調査をおこなえば、絶対ついて回る内容です。人口密集地区に該当する細かい定義はありますが、あくまでも簡単に言うと「都市部では飛行禁止」です。
調べる方法としては国土地理院のサイトで確認する方法です。
またスマートフォンアプリでも調べれるものがあるので結構容易に調べられます。
東京、大阪、愛知、札幌を見ていただければわかりますが真っ赤です。ここが飛ばせないエリアになります。
このエリア内で飛行させたいとなると、特定のドローンで特定の安全対策、経験した上で、国土交通省に申請して、許可された場合のみそのドローンで飛行させることが可能です。
もちろん未経験者が申請だけすれば無条件で許可がおりるわけではありません。
なお、このエリア私有地でもアウトです。
なのでこれを見ている方が東京23区在住で「よし200g以上のドローンをかうぞ!申請は後ほどするとして、自分の庭で練習だ!」
と思った方がいた場合、自分の土地でもアウトです。
家の中(屋内)で飛行させるのはOKでが現実的ではありませんので。
・目視外飛行
まず目視飛行とは
目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
引用 国土交通省 無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルールhttps://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html
を指しますので、それ以外の飛行を指します。
なので大きい建物奥に行ってしまって、目視できない、モニターを見ながらでないと操作できないなんて状況が該当するかと思います。
これも特定の条件を満たし、申請・許可されれば可能です。
・人又は物件から30m以上の距離を確保できない飛行
これが一番影響をうけるでしょう。30m以上建物から距離を取らないとだめです。
まず定義から。人とは
「人」とは無人航空機を飛行させる者の関係者(例えば、イベントのエキストラ、競技大会の大会関係者等、無人航空機の飛行に直接的又は間接的に関与している者)以外 の者を指します。
続いて物件とは
「物件」とは飛行させる者又は飛行させる者の関係者(例えば、委託元等、法令で定める距離(30m)内に無人航空機が飛行することを了承している者)が管理する物件以外の物件を指します。
関係者外ならいけそうじゃんとおもいますが、
でも普通、家ってよこにほかの方の家がたってますよね?
目の前の道路は不特定の人がとおりすぎますよね?
電柱などがありませんか?それは関係者の物件でしょうか?
集合住宅ならほかの人が多く住んでますよね?いつでもそのエリアにはいってきますよね?
結論、住居の大半はこれを満たすことはできません。
相当山間の広々としたぽつんと立っている一戸建てであればありえる可能性もゼロではないかもしれませんが・・・まぁほぼないとは思います。
もちろん離着陸場所も該当していないといけないのでとりあえず30m上空にあげてしまえというもの無理です。あと30mって結構遠いです。10階建て近くに相当します。
現実的ではありませんね・・・
なのでこれも国土交通省に申請・許可を得る必要があります。
ゆえに結論として火災保険申請サポートを業として200g以上のドローンで対応するには国土交通省に申請しないとほぼむりでしょう。
200g以下の代表的ドローンとして「DJI Mavic Mini(199g)」というものがありますが、軽いため風の影響を受けやすいです。
できなくもないですが・・・やるならそれ以上の機体がのぞましいでしょう。
今多く使われているように思えるのは、DJIの「mavic2」「phantom」あたりが一般的に思えます。
なのでドローンスクールの資格を持っていても、国土交通省の許可とは別物ですから、家屋調査をするために満たすための許可を取らないと、ほぼ無理といっても過言ではありません。
これが現行法の状況です。
しかもトラブルが起きるたびに年々規制は厳しくなっており、過去にはドローンにお菓子を付けて飛ばしたりなどを複数社がしていたことで、イベント関連での飛行も厳しくなったりとしたこともありました。
まだ先ですが、今後免許制の導入も検討されているとの報道もされました。(まだ2~3年以上先で現在はまだどのように運用するかを検討している段階のようです。)
これからさらに規制は厳しくなる一方なので、日本での一般への普及はなかなか難しいと思えます。
ドローン使用のメリット・デメリット
ではそれを踏まえて家屋調査におけるドローン以外の撮影方法とのメリットデメリットをまとめます。
ドローンの良い点
・高い建物でも屋根などの撮影が可能。
・撮影角度の自由度が高い
ドローンの悪い点
・天候に左右される(防水のドローンは数百万するのが多いため一般的なドローンだと雨は厳しい。)
・雨でなくても風にも影響される。
・曇天の場合、GPSを捕縛できない場合がありその場合、飛行が非常に難しい場合がある
・都市部によってはGPSが捕縛できない場合がある
・落下した時のリスクが高い
などです。
自由に撮影できる反面、いまのところ天候の状況の変化に非常に弱いです。
ただ業務などで使われるドローンにはGPS機能がついており、GPSによってある程度の風には影響されない安定した飛行が可能になっています。
それでももしGPSが捕縛できない状態では風に流されるため安定した撮影は厳しくなります。
操縦したことのある人はわかるとはおもいますが、GPSあり、なしでは全くの別物といえるぐらいむずかしくなります。
もちろん細かい内容などついては書ききれませんが、法令等遵守しないといけない点は多くありますし、かみ砕いた内容になるのでご了承ください。
ドローンは約900g(mavic2の場合)という重さがあり野球の硬式用の金属バットが900g以上ですからバットが上空から降ってくると考えれば非常に危険なことは想像にたやすい状況です。
またプロペラは肉や野菜をも切ることができてしまうパワーのある機体もあります。
海外のyoutuberなどではその実験した動画を上げていたりもします。
非常に有用なものではありますが、その側面それと同じぐらいの危険も存在するため、注意が必要です。